イエメン反体制派、ホデイダ港から撤退開始 政府側は疑念
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【12月30日 AFP】イエメンの反体制派は29日、停戦協定に従って物流の要衝ホデイダ(Hodeida)港からの撤退を開始した。国連(UN)当局者が同日、明らかにした。しかし政府側部隊はホデイダ港の引き渡しプロセスに疑念を抱いている。
国連当局者は匿名を条件に、イスラム教シーア派(Shiite)系の武装組織「フーシ派(Huthi)」は29日午前0時(日本時間同6時)、紅海(Red Sea)沿岸のホデイダ港からの撤退を開始したと述べた。
しかし、政府側の当局者はAFPに対し、政府側はホデイダ港引き渡しの報道に「驚いた」と語り、「彼らはその港を誰に、どうやって引き渡すんだ」と述べた。
政府側当局者は、「フーシ派は、ホデイダを支配しているのをいいことに、海軍と沿岸警備隊の両方に自軍側の戦闘員を送り込んでおり、正統政府にとって大きな悩みの種となってきた」「こうした極めて重要なインフラストラクチャーにおける適切な人員採用プロセスを確保するため、国連は透明性のある仕組みを整えなければならない」と訴えた。
別の政府側当局者は、国営のサバ(Saba)通信がフーシ派に掌握されたためにサウジアラビアが設立した同名の通信社「サバ通信」を通じて、今月スウェーデンで行われた和平交渉で結ばれた「合意の内容をゆがめるための、反体制派による試みなのは明らかだ」と述べた。
フーシ派は同派が掌握したサバ通信に対し、「ホデイダ港からの移動の第1段階」を始めたと明らかにした。
国連の統計によると、イエメンでは1400万人が飢餓の瀬戸際に追い込まれており、ホデイダ港はこうした人々に対する食料支援の搬入拠点となっている。このため、フーシ派のホデイダ港からの撤退は、今月18日に発効した停戦の中核となっている。
政府側部隊も、サウジアラビア主導の連合軍の支援を受けて6月13日に開始した攻勢で奪取したホデイダの一部地域から撤退することになっている。(c)AFP/Dana MOUKHALLATI