【12月29日 AFP】クレムリン(ロシア大統領府、Kremlin)は28日、世界反ドーピング機関(WADA)との新たな問題に関してウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の介入を求めた、同国反ドーピング機関(RUSADA)からの要請を却下した。

 RUSADAのユーリ・ガヌス(Yury Ganus)事務局長は27日、ロシアが新たな制裁危機に直面して「奈落の底に落ちる寸前だ」と訴え、モスクワの研究所のデータにWADAがアクセスする権限を与えるようプーチン大統領に申し入れていた。しかしながら、RUSADAが新たな制裁を懸念していることに関して、クレムリンは「根拠がない」という認識を示した。

 ドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)大統領報道官は記者に対し、「あいにく(RUSADAの)責任者は、ロシア側とモスクワを訪れていたWADA代表団との間で作業が進んでいることを分かっていない」「彼は詳細を知らないだけだ。彼が提起している多くの懸念は根拠がない」とすると、詳細については明らかにしないまま、「(WADAとロシア側の)共同作業がどのような形で進められ、いつごろ最終的にまとめられるのかという疑問が生じることは、われわれにも理解できる」と述べた。

 WADAは9月にRUSADAの処分を解除し、ロシア選手が全競技で大会に復帰できる道を開いた。国家ぐるみのドーピング違反を指摘されていた同国の資格回復の条件には、年内に前モスクワ研究所の検査データに関してアクセス権を全面的に認めることなどが含まれていた。

 前週にはWADAの代表団がモスクワを訪れていたが、「データを検出するために代表団が独自の機材を使用することについては、ロシア法の下で承認が必要であると同国当局から指摘があったため、代表団は規定時間内に任務を完了できなかった」として、同研究所の完全なデータ検出が行えなかったことを明らかにした。

 こうした事態を受けて、ガヌス事務局長は即座にプーチン大統領宛ての公開書簡で、「われわれは奈落の底に落ちる寸前であり、クリーンなスポーツとアスリートの現在と未来の保護を求める」と要請。RUSADAが再び資格停止となれば、ロシアは国際大会への選手団派遣が不可能になり、国際大会の開催権を失うことになると訴えていた。(c)AFP