シリア政府軍、クルド部隊支援で北部マンビジに展開 同盟関係に変化
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【12月29日 AFP】シリア政府軍は28日、同国北部の対トルコ国境付近の要衝マンビジ(Manbij)周辺に部隊を展開させた。クルド人勢力を支援するための動き。米軍のシリア撤退が先週発表されたことを受け、同盟関係が急速に変化している。
マンビジには2016年からクルド人勢力が部隊を配置し、米国主導の有志連合軍も駐屯している。マンビジ当局の幹部はAFPに対し、シリア政権側の展開はロシアが後押しした交渉の結果だと述べた。
シリア政府軍は市内に旗を掲げたと発表したが、マンビジ幹部は、政権側部隊は市内に入らず、トルコが支援するシリア人部隊との境界線上に展開すると説明。米軍も、政府軍は市内には入っていないと言明した。
トルコはシリア政府軍の展開に対し、「すべての側が挑発的な行動を自制しなければならない」と警告。一方、マンビジ西端では28日のうちに、トルコが支援するシリア人部隊の大規模な車列が見られた。
シリアをめぐっては、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が先週、米軍撤退という衝撃の発表をしたことで、クルド人勢力が孤立する情勢となっていた。
米国がシリア国内でのイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」との戦いを支援する間、クルド人民兵組織「クルド人民防衛部隊(YPG)」は先鋒役として同盟勢力の主軸となってきた。
クルド側は今回の政府軍の進軍を歓迎。自治獲得の希望は大きく後退することになるが、損害を抑えるため、同盟相手を変える現実的な選択をした形。
YPGは「われわれの部隊が撤退した地域、とりわけマンビジにおける支配を奪還するとともに、これらの地域をトルコの侵略から防衛するため(中略)われわれはシリア政府軍を招き入れる」と表明した。(c)AFP/Layal ABOU RAHAL