ミャンマーの「忘れられた紛争」、家を追われるカチンの人々【再掲】
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【12月30日 AFP】少数民族の武装勢力とミャンマー軍との戦闘が長年続いている中国と国境を接するミャンマー北部カチン(Kachin)州にこのほど、西部ラカイン(Rakhine)州での「民族浄化」行為で悪名高い部隊が配備された。(※この記事は、2018年5月29日に配信されました)
ミャンマー北東部での反政府活動は、過去60年にわたり続いているが、イスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)をめぐる問題とは対照的に、世界中で大きく取り上げられることはまれだ。「忘れられた紛争」と呼ばれることもあるが、今年に入ってからは状況が劇的に悪化しており、すでに2万人が避難を余儀なくされている。
この紛争では、自治権や民族的アイデンティティー、麻薬、ヒスイやその他の天然資源など、さまざまな要素をめぐって武装勢力「カチン独立軍(KIA)」とミャンマー政府が対立している。
4月11日、銃声と戦闘機の音が近づく中、ダナイ(Danai)の村の住民たちは農地へと逃げ込んだ。しかし、その3日後、村内への着弾をきっかけに、地域の指導者たちは住民2000人を避難させることを決めた。
避難民の中に、前日に女の子を出産したばかりのセン・ムーンさん(22)がいた。ムーンさんは、ダナイの避難所でAFPの取材に応じ、「(出産直後で)まだ出血していた。死ぬかと思った」「とても大変だったけれど、私たちは川を渡らなければならなかった」と語った。
幼い子どもや病人、高齢者が多いグループにとって、深い森の中を進むのは容易ではない。
だが幸運なことに、森の厳しい状況の中で地元の象使いたちから救いの手が差し伸べられた。目的地の避難所に向かうためには、胸の深さほどある川を渡る必要があるのだが、体の弱い避難民らを中心に、ゾウ使いが彼らを対岸まで運んだのだ。避難所は木造の小さな教会敷地内に設けられていた。
少数民族のカチン族は主にキリスト教徒だが、ミャンマーでは仏教徒が圧倒的多数を占める。