中国当局が北京大学の学生拘束、毛沢東の生誕125周年イベントを計画
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【12月27日 AFP】中国トップレベルの名門として知られる北京大学(Peking University)で26日、建国の父とされる毛沢東(Mao Zedong)の生誕125周年を祝おうとした学生活動家が警察に身柄を拘束された。現場を目撃した学生がAFPに明らかにした。
目撃者によると、拘束されたのは北京大学マルクス主義研究会の会長、邱占萱(Qiu Zhanxuan)氏で、大学東門の外にある地下鉄駅近くで7~8人の私服警官の手で黒い車に押し込まれた。「私は邱占萱だ」「法律違反はしていない。なぜ私を連れ去る? 何をしている?」などと叫びながら抵抗していたという。
私服警官らは、騒ぎを聞きつけて集まった人々の質問に「公安部の書類」を提示したという。北京大学と中国公安部は共に取材に応じていない。
北京大学には学生運動の歴史がある。1989年に北京の天安門広場(Tiananmen Square)で起きた「天安門事件」でも、軍に武力弾圧された民主化運動を指導したのは北京大学の卒業生たちだった。
しかし、習近平(Xi Jinping)国家主席の体制下で、学生運動は厳しく取り締まられている。今年8月には国内の複数の大学で警察が学生運動家の一斉摘発を行い、広東(Guangdong)省の工場で組合を設立しようとした労働者たちを支援したとして学生数人を暴行のうえ携帯電話を押収した。
北京大学マルクス主義研究会に所属する学生の一人は、「ばかげている。毛沢東を記念して何が悪いのか」と憤りを口にした。この学生によると、大学側は研究会の活動を日常的に妨害し、学内オンライン掲示板への投稿が削除されたり、微信(ウィーチャット、WeChat)のアカウントへのアクセスができなくなったりしているという。今回の邱氏拘束の情報も、拡散を大学側に阻止されたという。
かつて「偉大なるかじ取り」とたたえられた毛沢東だが、その功罪をめぐっては中国国内に今も議論がある。中国共産党は近年、毛沢東の「遺産」から距離を置こうと努めており、26日には生誕125周年の公式行事は一切行われなかった。人権団体によると、北京市内ではマルクス主義を信奉する学生たちが「フラッシュモブ」形式の記念イベントを行ったという。(c)AFP