【12月27日 AFP】世界最高峰エベレスト(Mount Everest)の山麓にあるエメラルド色の氷河湖イムジャ(Imja)──。もし壊滅的な洪水を引き起こす恐れがなければ、この湖は見る者の目を奪う「自然界の傑作」となっていただろう。

 ヒマラヤ(Himalaya)の氷河をめぐっては、温暖化で急激に融解する恐れがあると科学者らから指摘されている。その影響で、イムジャのような湖はさらに拡大して決壊することも考えられ、大洪水が引き起こされるリスクもそこにはあるという。貧困にあえぐ小国ネパールは、地球温暖化に翻弄(ほんろう)されているのだ。

 大洪水が発生すると、水、泥、岩が高速で下流に流されて大災害となることが予想される。もし実際に起きてしまうと、重要なエネルギー関連事業や村々をのみ込みながら、人口密度の高い南部の平原まで水が押し寄せることも十分に考えられる。

 ヒマラヤ周辺ではここ数十年、どこからともなく無数の湖が出現している。2014年に実施された調査では、1977年~2010年にネパール国内の氷河の4分の1が失われ、氷河湖の数は1466になったことが分かった。

 地球温暖化で国の地形が変化する中、21の湖に潜在的リスクがあるとの指摘を受け、ネパール政府は災害を食い止めるための努力を続けてきた。

 しかし、水文気象局のリシ・ラム・シャルマ(Rishi Ram Sharma)局長は、「氷河に起きている変化を食い止めるために、われわれのような小国ができることは限られている」と話す。