中国で児童婚の花嫁に、行方不明の娘を必死に捜す母親たち ベトナム
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【12月29日 AFP】ベトナムの中国との国境地域で2月、16歳の少女ズアさんと親友のディさんの行方が分からなくなった。2人をめぐっては、児童婚の花嫁として中国に売られたのではとの懸念がささやかれている。
ズアさんの母親のブ・ティ・ディン(Vu Thi Dinh)さんは、国境地帯で2人を捜し続けている。会う人すべてに、ズアさんとディさんが紅白のベルベットのドレスを着ている写真を見せているのだという。フォトショップ(Photoshop)で加工した写真には「Falling Into You(あなたに落ちていく)」と言う言葉が印刷されている。
少女らは2月、中国から目と鼻の先にある国境の町メオバック(Meo Vac)へと向かい、その後の行方が分からなくなった。母親らも、2人が中国に売られてしまったのではとの考えに不安を隠せない様子だ。中国は、世界で最も花嫁の人身売買が行われている国の一つとされている。
ディンさんはAFPの取材に「娘が電話をかけてきて、『どうか心配しないで。失踪したけど安全に暮らしている』と言ってくれるだけでいい」と涙ながらに話した。
ベトナムにはディンさんのように、娘の行方が分からなくなっている母親が大勢いる。こうした少女の多くは中国にいると考えられているのだ。中国は一人っ子政策が長く続いたことで男女のバランスが崩れており、男性の数が女性を3300万人上回っている。これは跡取りとして息子を望む人が多かった結果で、こうしたことを背景に、同国では花嫁の人身売買が横行してしまっている。
中国との国境付近では、花嫁の人身売買は身近な話題だ。高校生らは誘拐されたいとこについて話し、夫たちは、夜の間にいなくなった妻たちについて語る。そして、母親たちは、娘に二度と会えないのではとの考えに苦しめられている。
「ズア(娘)にはバイクの後部座席に乗ったり、市場で知らない男性と会ったりしないように注意していたのに…」とディンさんは語る。また、娘が帰ってくること信じて、彼女の洋服ダンスはそのままの状態で放置してあることを明かした。
2月に行方が分からなくなってから、ズアさんとは一切連絡が取れていない。行方不明になる数週間前に買った携帯電話に電話しても、つながらないのだという。