【12月22日 AFP】「ビーフィーター (beefeater)」の通称で知られる英ロンドン塔(Tower of London)の守衛らが21日、伝統的な赤い制服から黄色いベストに着替え、他の史跡の職員と共に年金制度の変更に抗議してストライキを決行した。観光客が訪れるロンドン塔にピケが張られるのは55年ぶり。

 ロンドン塔やハンプトン・コート宮殿(Hampton Court Palace)、ケンジントン宮殿(Kensington Palace)などを管理運営する慈善団体ヒストリック・ロイヤル・パレス(HRP)の職員は、フランスの反政府デモ「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」運動の参加者と同じ、黄色のベストを身に着けてストライキを決行した。

 HRPが新たに導入した年金制度では、従業員負担が増す。

 スト参加者のテリーザさんは、現在もらっている給料は決して「すごい」額ではないが、この仕事に身をささげ、英国の君主制のイメージ向上に努めてきたと自負する自分たちにとって、年金制度の変更は受け入れ難いと主張。

「これまでずっとHRPのために働き続けてきたのも、あの(旧)制度がそれだけ良いものだったから」だと語った。

 HRPの職員らは、自分たちの訴えをぜひ聞いてもらいたいとロンドン塔前に集まり、「われわれの年金を守っていくぞ」と書かれたプラカードを掲げた。HRPが管理運営する史跡は、ストライキ中も一般公開された。

 ロンドン塔の守衛の仕事は、塔内に保管されている王室の戴冠用宝玉を守ることだが、観光客を迎える役目も担っている。(c)AFP/Inès BEAUGE