■不法入国者の厳罰化求めるロビー活動に27億円

 リサーチセンター「インザパブリックインタレスト(ITPI)」の調査によると、こうした民営化の動きによって、不法入国などの軽い犯罪でも多くを収容しようとする経済的インセンティブが生まれているという。

 報告書によると、コアシビックとGEOグループは、「1989年以降の選挙の立候補者に1000万ドル(約11億円)以上を費やし、ロビー活動費に2500万ドル(約27億円)近くを投じた」とされる。それぞれの年次報告書によれば、2017年の収益は合わせて40億ドル(約4400億円)に上る。

 移民の人権問題に取り組む非営利組織「Migrant Center for Human Rights」の活動を手伝う弁護士のジョディ・グッドウィン(Jodi Goodwin)氏は、「拘禁期間および法律で義務付けられている最低刑期の延長、そして刑の厳罰化を求めてロビー活動をしているのがこの業界だ。毎日、誰かを拘禁しておけば、それだけで彼らにとってはお金になる」「むかむかするような業界だ」と批判的な意見を述べた。

 ICEによれば、2017年度に施設に収容されていた移民の数は、1日平均3万539人。今年はすでに5万379人に達している。

 そして今回、現在進行形の移民危機がきっかけとなり、国境で親から引き離された子どもたちが収容される施設の運営企業にも、ようやく厳しい目が向けられるようになった。非営利のニュースメディア「テキサス・トリビューン(Texas Tribune)」によれば、テキサス州には子ども用の収容施設が31か所ある。

 しかし、不法移民ビジネスから利益を得ている業界は、民間の収容施設だけではない。