米軍のシリア撤退、戦場以外にも地政学的影響か
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【12月20日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)政権は19日、シリアでイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」を打倒したと宣言し、シリアに展開する米兵2000人を撤退させると発表した。
米軍撤退はシリアの戦場にとどまらず、幅広い地政学的影響をもたらすものとみられている。本記事ではいくつか考えられる影響について考察していく。
■クルド人部隊とトルコ
米軍の撤退を最も不安視しているのは、反体制派組織「シリア民主軍(SDF)」の中核となっているクルド人部隊だ。SDFは米主導の有志連合の支援の下、シリアの約4分の1を支配下に置いている。
トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は今週、1984年からトルコ国内で反政府活動を行っている非合法武装組織「クルド労働者党(PKK)」とつながりがあるとして、クルド人民兵組織「クルド人民防衛部隊(YPG)」を一掃すると宣言している。
ISとの戦いでは最前線に立っていたクルド人部隊だが、トルコによる攻撃の標的となれば間違いなく矛先を転じることになるだろう。
■ISの復活?
バラク・オバマ(Barack Obama)前米大統領がイラクから米軍を撤退させた後、イラク各地でISが台頭したことを引き合いに出し、トランプ氏の決定を非難する声も上がっている。トランプ氏と同様にオバマ氏も外国への軍事介入から手を引くことに意欲的だった。
元外交官の経歴を持つ米シンクタンク「新米国安全保障センター(CNAS)」のイーラン・ゴールデンバーグ(Ilan Goldenberg)上級研究員は、イラクの時と同じように後継勢力が台頭し、米国が新たな軍事介入を行う羽目になる恐れもあると指摘。
ゴールデンバーグ氏はツイッター(Twitter)に、「わが国は過去20年にわたり何度も何度も繰り返してきた同じ過ちを、また中東で繰り返そうとしている」と投稿している。