【12月20日 AFP】ドイツの有力誌シュピーゲル(Der Spiegel)は19日、受賞歴のある自社の記者の一人が長年にわたり記事を捏造(ねつぞう)していたと発表し、メディア界に衝撃が走った。

 シュピーゲルは、記者のクラース・レロティウス(Claas Relotius)氏(33)がシュピーゲルの紙版・電子版の両方に掲載された記事60本のうち、少なくとも14本で「話をでっち上げ、中心人物を創作した」ことを明らかにした。他メディアも影響を受けている恐れがあるとしている。

 レロティウス氏は詐欺行為を認め、辞職した。同氏はシュピーゲルで7年間記事を執筆。その調査報道を認められ、2014年の米CNN「今年のジャーナリスト(Journalist of the Year)」を含む数々の賞を受賞していた。

 でっち上げが発覚したきっかけは米・メキシコ国境の記事について、レロティウス氏とともに仕事をしていた別の記者が同氏の報道の詳細に疑念を抱いたことだった。この記者は11月に掲載された問題の記事で、レロティウス氏が広範にわたり引用した情報筋とされる2人を追跡。その結果、2人はレロティウス氏に一度も会ったことがないと判明した。

 シュピーゲルは掲載した長い記事の中で、この発覚に「衝撃」を受けたとし、読者および「不正な引用、人物の詳細に関する捏造、あるいは架空の場所での場面のでっち上げ」の対象となった可能性のあるすべての人に謝罪した。

 ハンブルクを拠点とし徹底した調査報道で知られるシュピーゲルは、この件について「自社70年の歴史で最悪」の事態と評した。(c)AFP