【12月19日 AFP】欧州連合(EU)の機密外交公電に、中国が関与しているとみられるハッキング集団が数千回アクセスしたと、19日の米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が報じた。

 主要な国際機関を標的とした情報漏えいが相次いでいるが、今回ハッキングされた公電は世界各地に駐在するEU外交官が送信したもの。EU外交官らがドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領への対応を懸念し、中国、ロシア、イランなどについて不安を抱いていることが明らかになった。

 米サイバー・セキュリティー企業「エリア1(Area 1)」が発見したEU外交公電の漏えいは、2010年に内部告発ウェブサイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」が米政府の外交公電を大量公開した事例を連想させるが、ニューヨーク・タイムズによると、今回の漏えいはずっと規模が小さく機密性も高くないという。

 モスクワ駐在外交官が送った公電には、フィンランドの首都ヘルシンキで行われた米ロ首脳会談は物議を醸したが、少なくともロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領にとっては「成功」だったと記述されている。

 別の公電は、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席との会談を詳細に記述。これによると、習国家主席はトランプ米大統領の貿易戦略を激しく非難した上で、米国は「ルールがないフリースタイルのボクシングの試合を戦っているかのように振る舞っている」と述べ、「いじめ」には屈しないと宣言したという。

 エリア1によると、3年間にわたるハッキングの手法は、中国軍のエリート部隊が用いるものと類似しているという。(c)AFP