【12月18日 AFP】フライト遅延や手荷物紛失の場合、近く補償金を受け取れるようになります──。カナダのマルク・ガルノー(Marc Garneau)運輸相は17日、そんな新規則案を公表した。国土の広いカナダで航空機は不可欠の移動手段だが、最近はフライト関連のトラブルに対する苦情が増加。政府は航空会社が「しかるべき敬意をもって乗客を扱うよう」(同運輸相)指導に乗り出した。

 首都オタワの空港では昨年夏、待機中の旅客機内で乗客が6時間も待たせられる事態が発生。冷房も効かず、子どもの嘔吐(おうと)物の悪臭が漂う中、機外には出られないと言われた乗客の1人が、たまりかねて電話で救急隊を要請する騒ぎになった。

 政府が17日に発表した規則案では、航空会社側に対して、国内便を含むカナダ発着便に関し、フライトの遅延や欠航の場合は1000カナダドル(約8万4000円)、オーバーブッキング(過剰予約)で搭乗できなかった場合は2400カナダドル(約20万1000円)の補償金の支払いを義務付ける。

 さらに手荷物の紛失や損傷についても、手荷物料金の払い戻しを含めて補償金を支払わせる方針だ。

 オタワ国際空港の手荷物受取場で記者会見したガルノー運輸相は「飛行機の旅で嫌な経験をしたという人の話は誰もが聞いたことがあるし、そういうニュースもよく目にする」と説明。「航空会社には、自分たちで制御できない状況でない限り、しかるべき敬意をもって乗客を扱い、責任をきちんと果たすようにさせていく」と力を込めた。

 ガルノー運輸相によると、規則案の作成に当たっては米国や欧州連合(EU)の規則も参考にしたという。

 政府統計局によると、カナダ国内にある91空港の年平均発着数は550万回。最東端から最西端への移動には航空機でも8時間かかる。(c)AFP