ロシアの米選挙干渉、アフリカ系に照準 投票意欲そぐ工作、調査で判明
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【12月18日 AFP】2016年の米大統領選へのロシア干渉疑惑で、偽情報を拡散するロシアの組織が交流サイト(SNS)で特にアフリカ系米国人を失望させ、投票意欲を失わせる工作をしていたことが、米上院情報委員会の依頼で作成された報告書で明らかになった。
工作していたのは、ロシアのサンクトペテルブルク(St Petersburg)に本社を置く企業インターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)。工作の主要な目的は、米国社会の分断を深め、ヒスパニックや若者、LGBTQ(性的少数者)ら民主党を支持するリベラル層が投票に行かないように仕向けることだった。
報告書は上院情報委員会の依頼で英オックスフォード大学(University of Oxford)とSNS専門の調査企業グラフィカ(Graphika)がまとめたもので、IRAが2015~17年にSNS全般で行った大量の広告や投稿に関してこれまでで最も広範な分析となった。その結果、IRAによる工作では、アフリカ系米国人の怒りを誘発し、大統領選当日に投票所へ行く気をなくさせることに特に重点が置かれていたことが判明した。
IRAが開設したアカウント「Blacktivist」からは、民主党の大統領候補だったヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏に関して「ヒラリー・クリントンにとって命は重要じゃない。ヒラリー・クリントンにとって重要なのは票数だけだ」といったメッセージが書き込まれていた。
IRAの別のアカウントからは、フェイスブック(Facebook)に「黒人だって大切だ」「警官は黒人の子どもを殺している。次の犠牲者はあなたの息子さんじゃないと、確信が持てますか?」などと投稿されていた。
報告書は「IRAのキャンペーンがアフリカ系米国人、LGBT、リベラルの有権者の投票意欲をそぐことにあるのは明らかだ」と結論付けている。
米調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)によると、2016年の大統領選では白人の投票率が4年前の前回選挙に比べ大幅に上がった半面、黒人の投票率は59.6%と5ポイント下がっていた。(c)AFP