オーストラリアのサメが激減、駆除の影響か 研究
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【12月14日 AFP】オーストラリアでこの半世紀にサメの数が激減したとする論文が13日、英科学誌コミュニケーションズ・バイオロジー(Communications Biology)に掲載された。人間がサメに襲われたことへの対策として実施されてきたサメ駆除の妥当性に疑問を投げかける可能性もある。
クイーンズランド大学(University of Queensland)のジョージ・ロフ(George Roff)氏らの研究チームによると、クイーンズランド(Queensland)州沖で網にかかった複数の種類のサメの数は、この55年間で74~92%減少した。
研究チームは、サメ襲撃を防ぐために政府がグレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)近海に設置した網とドラム缶型ブイから餌付きのフックを垂らしてサメをわなに掛ける装置「ドラムライン」にかかったサメの数を調査した。この事業で5万匹のサメが駆除されたと推定されている。
研究チームによると、1962年には年平均9.5匹のシュモクザメがかかっていたが、2016年までに0.8匹に減少した。シュモクザメはその特徴的な頭の形のため、他の種類のサメよりも網にかかりやすいとされている。
ただし、使用する網やドラムラインが1992年まで標準化されておらず、異なる種類の餌や網が使われていた可能性があるため、このデータには不確かな部分もあるという。サメ駆除事業全体で網とドラムラインを標準化し、作業員にサメの種類の見分け方を指導した1992年以降、2017年までの25年間に単位努力量当たり漁獲量(CPUE)はシュモクザメで68%、メジロザメで69%、イタチザメで69%、ホホジロザメで42%減少したという。
政府のサメ襲撃防止事業がサメの数の減少の主要因となっているが、遊漁や商業漁業も一因とされる。サメのような食物連鎖の最上位捕食者が減ると、海洋生態系に広範にわたる未知の影響を及ぼす恐れがあると研究チームは警鐘を鳴らしている。
クイーンズランド州で人間がサメに襲われる件数は横ばいまたは増えてさえいるというデータもあり、サメ襲撃防止策としての駆除への反対論が起きる可能性もある。
シドニーのタロンガ動物園(Taronga Zoo)がまとめたデータによると、オーストラリアでは今年これまでに、サメによる襲撃が27件発生した。多くの専門家はサメ襲撃の増加原因として、海を訪れるレジャー客の増加を挙げている。(c)AFP