EU、英の「合意なき離脱」の準備を加速
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【12月14日 AFP】(更新)欧州委員会(European Commission)のジャンクロード・ユンケル(Jean-Claude Juncker)委員長は13日、来年3月に予定されている英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)について、「合意なき離脱」に至った場合の準備を加速すると述べた。ブリュッセルで開かれた首脳会議後に語った。「合意なき離脱の準備に向けて一般に有用なすべての情報」を今月19日に公表することも明らかにした。
前日の12日に英与党・保守党の信任投票で信任されたばかりのテリーザ・メイ(Theresa May)英首相は、13日の首脳会議で英国を除くEU加盟国27か国の首脳に、離脱協定案によって英国がブレグジット後も永続的にEU関税同盟に残ることはないことを英議会に明確に示すよう求め、物議を醸している「バックストップ(安全策)」条項に英議員らが持っている懸念の払拭(ふっしょく)に力を貸してくれれば、協定案は来月英下院を通過する可能性はまだ残っていると述べた。
バックストップ条項はアイルランド・英国間での厳格な国境管理を復活させないためのものだが、EUからの完全離脱を主張する強硬派は同条項により英国がブレグジット後も長期間、EUの関税同盟に残る恐れがあると主張している。多数の保守党議員やメイ政権に協力する北アイルランドの政党はバックストップ条項を認めない方針だ。
欧州側の消息筋によると首脳会議は緊迫した雰囲気で行われ、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相ら各国首脳は何度もメイ首相の発言を遮り、具体的に何をしてほしいのかと尋ねたという。
2人の外交筋はAFPに、メイ氏の提案の1つが、ブレグジット後の移行期間の終了後に自由貿易協定を締結する目標期日を設定することだと明かした。自由貿易協定が締結されれば、バックストップ条項を協定案に盛り込む必要がなくなる。しかし欧州側は期限の設定には応じない姿勢を示しており、メイ首相の退出後に、ブレグジット協定案に再交渉の余地はないとする声明を発表した。
ユンケル委員長は、欧州側からの支援を望むならば今後数週間以内に提案を出すようメイ首相に伝えた。その一方でユンケル氏は、「合意なき離脱」に備えて欧州の企業と市民を保護するため、今月19日に従来よりも踏み込んだ計画を公表すると明らかにし、新たな取り決めがない限り英国は来年3月29日にEUを離脱すると述べた。(c)AFP/Alice Ritchie and Dave Clark