【12月12日 AFP】米ファストフード大手マクドナルド(McDonald's)は11日、抗生物質の使用を抑制する健康志向の改革の範囲を鶏肉以外にも拡大し、牛肉への抗生物質の使用を段階的に削減していくと発表した。

 計画は3段階にわたって進められ、まず2020年までに、牛肉調達先の上位10市場で家畜への抗生物質利用状況を調査し、削減目標を設定する。そして同年から、削減目標の達成状況の報告を始める。

 マクドナルドのキース・ケニー(Keith Kenny)グローバルバイスプレジデント(持続可能性担当)は、「マクドナルドは抗生物質への薬剤耐性を重大な公衆衛生問題だと考えている。わが社が置かれた唯一無二の立場を真摯に受け止め、わが社の規模を徹底的に利用し、この問題への対策を続けていく」と述べた。

 マクドナルド、米小売り大手ウォルマート(Walmart)、米食品大手タイソン・フーズ(Tyson Foods)などはすでに、鶏肉への抗生物質の利用を制限または段階的に削減している。

 薬剤耐性問題には各国の保健当局が警鐘を鳴らしており、2016年9月には国連総会(UN General Assembly)でも各国首脳が抗生物質の過剰投与問題で協調的行動を取ると表明した。

 しかし、自然保護団体「天然資源保護協議会(Natural Resources Defense Council)」の食料政策の専門家リナ・ブルック(Lena Brook)氏は、抗生物質の利用抑制について、牛肉業界では鶏肉業界ほどの進展は見られていないと指摘する。

 ブルック氏によると、畜産業界に販売された抗生物質のうち、鶏肉業界向けがわずか6%だったのに対し、牛肉業界向けは43%にも上っている。(c)AFP