【12月11日 AFP】英国のテリーザ・メイ(Theresa May)首相は10日、同国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)協定案をめぐり翌日に予定されていた議会採決について、否決を回避するため実施を延期すると発表した。メイ首相は同案の内容についてEUと再協議する意向を表明。これを受け英ポンドは対ドルで急落した。

 メイ氏は下院で行った緊急演説で、先月にEUと合意に至った離脱協定案について、11日に下院での採決を行えば「大差」で否決となる見通しであることを認めた。また、採択延期の決定によって離脱条件をめぐる不確実性が増大したことを認め、「われわれが協定案で合意に達することができない限り、合意なき不測の事態に陥る恐れが高まる」と述べるとともに「政府はそのような潜在的結果に対応するための準備を強化する」と表明した。

 協定案をめぐっては、メイ氏が率いる与党・保守党内からも大きな反発が起きており、特にアイルランドと英国間に国境検問を設けないための「バックストップ(安全策)」条項が争点となっている。

 メイ氏は先週末、ドナルド・トゥスク(Donald Tusk)EU大統領とアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相を含むEU指導者らと協議を行っていたが、議会での演説では、バックストップ問題についてEUからさらなる確約を取り付けられれば「この下院で過半数の支持を得られると確信している」と表明。13~14日にベルギーの首都ブリュッセルで開かれるEU首脳会議に先立ち、協議を継続する意向を示した。(c)AFP/Alice RITCHIE, Dario THUBURN