【12月9日 AFP】カナダの首都オタワの連邦議会議事堂前で8日、国連（UN）による移民対策の国際的な枠組み「国連移民協定」への同国の参加に反対する右派グループと移民擁護派が衝突した。

　雪が降り積もる寒空の下、200人ほどとみられる極右団体のメンバーと、これに抗議する約100人が議事堂前で罵倒を浴びせ合った。抗議イベントが始まってまもなく小競り合いが起きたものの、すぐに機動隊が両者を引き離した。この騒ぎで1人が逮捕された。

　極右団体の広報担当者は、国連の協定は主権の下にある移民政策を損なう恐れがあると説明。野党・保守党のアンドリュー・シアー（Andrew Scheer）党首や他国の保守政治家らとも共通する主張だが、協定の支持者は断固否定している。

「カナダは移民でできた国だ。われわれは共生の方法を学んできたし、より良くやっていく方法を見つけてきた。だから国連の移民協定にああしろだとか、うまくいっている制度を変えろなどと言われる筋合いはない」と先の広報担当者は語った。

　通り掛かりにこの主張を耳にした男性は、「思わず仰天した」と述べ、反対派の人たちは認識を誤っているとAFPに語った。「彼らは大混乱した移民問題に文句を言うのと同時に、それを秩序立った安全なものにするという努力も非難している。それはひどい話だ」

「国連移民協定」はモロッコのマラケシュ（Marrakesh）で今月10～11日に開かれる会合で正式に採択される運びだが、協定に法的拘束力はない。

　米国は昨年12月に不参加を表明。ハンガリー、オーストリア、ポーランド、チェコ、スロバキア、オーストラリアもこれに続いた。

　昨年の難民申請数が前年比で倍近く増加したカナダでも、移民問題への意見は両極化が進んでいる。(c)AFP/Michel COMTE