【12月5日 AFP】米共和党の有力上院議員2人は4日、サウジアラビアの著名ジャーナリスト、ジャマル・カショギ(Jamal Khashoggi)氏の殺害を指示したのがサウジのムハンマド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)皇太子であることに疑いはないと言明した。ジーナ・ハスペル(Gina Haspel)中央情報局(CIA)長官は同日、上院の一部議員らを対象に非公開で説明を実施。議員らの発言はその内容を受けたもの。

 ホワイトハウス(White House)は皇太子が事件に関与した可能性を重視しない意向を示しており、与党議員から政府の姿勢と逆行する爆弾発言が出た形。

 上院外交委員会委員長を務めるボブ・コーカー(Bob Corker)議員(共和)は1時間にわたる説明の後、記者団に対し、「皇太子が殺害を指示し、逐一状況報告を受けていたことについて、まったく疑いを抱いていない」と言明。「もしMBS(サルマン皇太子)が陪審の前にいたら、30分もしないうちに有罪評決が下るだろう」と語った。

 また、リンゼー・グラム(Lindsey Graham)議員(同)も説明後、強い言い回しで同様の見解を表明。サルマン皇太子が「解体用鉄球」(大きな破壊をもたらす物のたとえ)であることを確信していると述べ、皇太子は「カショギ氏殺害にあり得る限りの高度な加担」をしたと指摘した。

 さらに同議員は「煙の出ている銃(スモーキングガン=決定的証拠のたとえ)ではないが、煙の出ているのこぎり」があると述べた。

 同議員はドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領に対し、サウジアラビアへの姿勢を大幅に厳格化するよう求めてきた人物。

 サウジ王室を批判していたカショギ氏は10月2日、トルコのイスタンブールにあるサウジ領事館で殺害された。

 米メディアは、CIAは殺害が皇太子の指示だったとの結論に達したと報じているが、トランプ大統領はその後の声明で、米・サウジ関係と石油市場の安定はあまりに重要であり、スキャンダルで揺るがすわけにはいかないとの考えを示していた。(c)AFP