【11月30日 AFP】北アフリカのアルジェリアで、240万年前のものとみられる石器と、切断された動物の骨が見つかったとする研究報告が29日、米科学誌サイエンス(Science)に発表された。東アフリカを人類発祥の地「人類のゆりかご」とする学説に疑問を呈している。

 石器はアルジェリアの首都アルジェから東に300キロほど離れたセティフ(Setif)で、スペイン、アルジェリア、オーストラリア、フランスの研究機関でつくる国際チームが発掘した。この地域で出土したものとしては最古で、これまで主に東アフリカで見つかっている「オルドワン石器(Oldowan)」に非常によく似ているという。

 近くからは切断された痕跡のある動物の骨の化石数十点も発見されており、先史時代に食肉処理に使われた道具の可能性がある。動物の骨にはワニやゾウ、カバの祖先のものも含まれていた。

 論文は「ヒト科の祖先が初めて石器を使用した地は、東アフリカだと広く考えられている。最古の事例は約260万年前にさかのぼる」と指摘した上で、「今回の新たな発見によってアインブーシェリ(Ain Boucherit)は、ヒト科が石器と共に肉を使用した現場の証拠がある北アフリカ最古の遺跡となった。他にも、東アフリカ大地溝帯(Eastern Africa Rift)の外で同様の初期人類の遺跡が見つかる可能性を示唆する結果だ」と主張している。

 仮説の一つは、現在の人類の初期の祖先が石器を東アフリカで使用してから間もなく、アフリカ大陸の他地域に持ち込んだというものだ。

 もう一つの仮説は、東アフリカと北アフリカの両方で初期人類が石器を作り、使用していたとする「複数起源説」だ。

 見つかった石器は2つの時代にまたがっており、240万年前のものと190万年前のものだった。これまで北アフリカで見つかった最古の石器は180万年前のもので、今回の発見は、従来説より少なくとも60万年早く人類の祖先が北アフリカに存在していた可能性を示唆している。

 ただ、ヒト科の骨はまだ見つかっていない。このため、今回の発掘場所で石器を使っていたのがヒト科のどの動物なのか、あるいは後世に出現する現生人類(ホモ・サピエンス)の「古い親戚」なのかは、研究チームにも不明という。(c)AFP/Amal BELALLOUFI