世界のはしか患者数30%増、ワクチン非難も一因 国連
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【11月30日 AFP】国連(UN)は29日、2017年の世界の麻疹(はしか)患者数が前年比で30%を上回る急増を示したと発表した。予防接種率が従来高かったドイツなど欧州の富裕国で患者の増加が記録されたという。
世界保健機関(WHO)によると、はしか患者が再び増加に転じたこの憂慮すべき傾向はほぼ世界規模の現象だが、原因は地域によって異なるという。
欧州では、有効性と安全性の両方が証明されているワクチンに関する無頓着さと誤った情報が、この問題の原因の一部となっていると専門家らは指摘する。
WHOの予防接種・ワクチン・生物学的製剤部門を統括するマーティン・フリーデ(Martin Friede)氏は、記者団に「専門家とされる人々が何の根拠もなくワクチンを非難している」ことが親の判断に影響を及ぼしていると語った。
フリーデ氏は具体的な例として、はしかワクチンを自閉症と関連付けている、医学的根拠のない主張を引き合いに出した。この主張は、いわゆる「反ワクチン(Anti-Vax)」運動の推進者らによってソーシャルメディア上で一部拡散された。
「報告されている患者数の増加よりも憂慮すべきことは、何年もはしかの伝染が確認されていなかった国々で、持続的な伝染が確認されていることだ」と、フリーデ氏は指摘する。「これは実際に後退していることを示唆している」
ここ12か月間で、ドイツ、ロシア、ベネズエラなど複数の国々がWHOによる麻疹排除国の認定を取り下げられた。WHOによると、国が麻疹排除の認定ステータスを失うのは「同型のウイルスが12か月以上連続して循環している」場合だという。