【11月23日 AFP】2億年以上前、先史時代の平野や草原を席巻していたのは恐竜だったかもしれないが、このほど発見された化石から、彼らには相当大きな競争相手がいたことが明らかになった。

 ポーランドとスウェーデンの大学の科学者チームは22日、ゾウほどの大きさがあったとみられる大型単弓類の化石を発見したと発表した。この動物はディプロドクスやブラキオサウルスなどの竜脚類の仲間を含む三畳紀の大型恐竜と肩を並べていたと、研究チームは考えている。

 研究チームによると、現代の哺乳類の遠い「親類」に当たるこの動物は体重が10トンに及んだとみられるという。これまで、パンゲア(Pangea)として知られる唯一の巨大な大陸が存在していた時代には、大型の陸生動物は恐竜だけだったと考えられていたが、今回の発見はこの説に異を唱えるものだ。

 今回発掘されたのは、ディキノドン類(Dicynodontes)のこれまで知られていなかった種の化石だ。草食性のディキノドン類は、体の大きさが小型の穴居性動物から大型の草食動物までの範囲にわたり、大半は歯がなかった。人類を含むすべての哺乳類は、ディキノドン類の系統に属する。

 ディキノドン類は、約2億5000万年前に起きた「大絶滅(Great Dying)」として知られる大量絶滅を生き延びた。大絶滅で死滅した生物種は最大90%に上ると考えられている。

 だが、ディキノドン類は三畳紀後期までに絶滅したと考えられている。この頃には、恐竜が支配的な陸上生物となっていた。

 ポーランドのリソビツェ(Lisowice)村で発見された四肢骨を分析した結果、2億1000万年~2億500万年前ごろに生息していたことが明らかになった。これは過去に見つかっているディキノドン類の生息年代より約1000万年新しい。学名は「リソビチア・ボジャニ(Lisowicia bojani)」と命名された。

 米科学誌サイエンス(Science)に掲載された論文によると、リソビチアはこれまでに同定されたディキノドン類に比べて体の大きさが40%大きいと考えられるという。

 スウェーデン・ウプサラ大学(Uppsala University)のグジェゴジュ・ニエジェビエズキ(Grzegorz Niedzwiedzki)氏は、「ディキノドン類は三畳紀中期と後期において非常に繁栄した動物だった」ことを指摘しながら、「リソビチアには大いに心躍らされる。これにより、三畳紀の単弓類に関する従来説の多くが突き崩される」と話した。(c)AFP