【11月21日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は有人宇宙飛行計画で連携している米航空宇宙機器大手ボーイング(Boeing)と宇宙開発企業スペースX(SpaceX)の2社に対し、業務や企業風土に関する全面的な安全審査を実施するよう命じた。米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)が20日、報じた。安全審査には、薬物使用禁止の徹底などが含まれるという。

 同紙は事情を知る関係者3人の話として、今回の審査が「スペースXの創設者、イーロン・マスク(Elon Musk)氏の最近の言動を受けたものであり、同氏はインターネットのポッドキャスト配信中にマリフアナを吸ったりウイスキーを飲んだりしていた」と報じた。

 NASAは報道に関するコメントは控えたが、国際宇宙ステーション(ISS)への「商業有人飛行という任務を安全かつ成功裏に」実施することに全力を注ぐため、審査を来年開始する予定であることを認めた。

 NASAは「(宇宙船)クルー・ドラゴン(Crew Dragon)とスターライナー(Starliner)の有人試験飛行に先立ち今後数か月のうちに、商業飛行のパートナーと協力して企業風土アセスメントを実施し、職場環境がNASAが求める安全基準を満たしているか確認する予定だ。これには薬物のない環境が徹底されていることも含まれる」と発表した。

 さらに「商業飛行のパートナーに対してはわれわれの任務実行時、さらにアメリカ国民への彼らのサービス提供時に、労働環境のすべての安全要件を満たしていることを全面的に期待する。NASAはこれまで通り、その徹底を彼らに求めていく」と説明した。

 米電気自動車(EV)大手テスラ(Tesla)の最高経営責任者(CEO)でもあるマスク氏の気まぐれな言動には最近、厳しい視線が集まっている。今年はポッドキャストで配信されたインタビュー番組でマリフアナを吸ったり、タイの洞窟に閉じ込めらた少年サッカーチームの救出に貢献したダイバーを「小児性愛男」と呼んで侮辱したりした。(c)AFP