【11月21日 AFP】ボクシング、WBA世界ウエルター級王者のマニー・パッキャオ(Manny Pacquiao、フィリピン)は20日、来年1月に行われるエイドリアン・ブローナー(Adrien Broner、米国)との一戦で、長年トレーナーを務めてきたフレディ・ローチ(Freddie Roach)氏と再びタッグを組みたいと明かしたが、契約についてはまだ同氏と話していないと認めた。

 7月にマレーシア・クアラルンプールで行われたルーカス・マティセ(Lucas Matthysse、アルゼンチン)との試合を控える中、パッキャオは15年にわたって続けてきたローチ氏との関係に終止符を打ち、ボクシング界で最も有名なコンビの一つは解消されていた。

 しかし、39歳のパッキャオは米ニューヨークで行われた記者会見で、ローチ氏が来年1月19日に予定されているブローナー戦で自身のコーナーに復帰すると述べ会場を驚かせた。

 一方のローチ氏は米誌「スポーツ・イラストレイテッド(Sports Illustrated)」に対し、パッキャオとは連絡を取っていないと話し、同選手の発表に困惑していると明かした。

 ローチ氏は「(2017年から)私がマニーと直接連絡を取ったことは一度もない」と述べた。

「マニーから連絡をもらうまではアクションを取らない。15年の間、私とマニーは父と子のような関係を続けてきた。もし彼が電話をかけられないのであれば、この取引は成立しない」

 パッキャオは同日、現状を説明してほしいというAFPの質問に対し、練習での主な指導任務はボボイ・フェルナンデス(Restituto“Buboy”Fernandez)氏に任せ、ローチ氏には「スーパーバイザー」としての仕事をこなしてほしいとコメントした。

 パッキャオは「フレディ・ローチとの関係に問題は一切ない」と話した。

「今言えるのは、練習におけるその他のことはボボイに一任したいということだけだ」「フレディはボボイを監督したり、指導することができる。それがわれわれの求めていることだ」

 しかしパッキャオは、ローチ氏と実際に話したのか質問されると、連絡は取っていないと認めた。

「われわれは今日話す予定になっている」「ボボイにミットを持ってもらい、フレディにはトレーニングの状況や技術、あるいはその他もろもろを監督、修正してもらうというのが私の考えだ」

 さらにパッキャオは、トレーニングキャンプを2部に分けて前半をフィリピンで、後半を米国で行う計画があることも明かした。

 パッキャオによれば、ローチ氏はフィリピンでの練習には参加しないことになるという。「彼はここ(米国)でただ待っていてくれればいい」「来月12月になれば私はここに戻ってくる」

 パッキャオとローチ氏が再びタッグを組むことになれば、印象的かつはっきりとした決裂状態からの復縁ということになる。

 両者は10年以上の間、父親と息子のような絆で結ばれていたが、パッキャオは最後にローチ氏に話しかけたのがいつだったのか思い出せないと話しており、両者の関係を疎遠にしたのは上院議員としての仕事であったと説明した。

 パッキャオは「話さなくなったのはずいぶん前のことになる。フィリピンで忙しかったから」と述べた。「休暇や気晴らしで米国に来る時間さえなかった。議員を務めるのはとても多忙だ」

 来月40歳になるパッキャオは、米国で約2年間試合を行っていない。最後に米国でリングに上がったのは2016年で、自身の引退試合と銘打ったこの一戦ではティモシー・ブラッドリー(Timothy Bradley、米国)に大差をつけ勝利した。

 しかしパッキャオはAFPに対し、ボクサーへの復帰を駆り立てたのは「寂しさ」だったと話した。

「引退して何試合か見た後、自分が寂しさを抱えていることに気づいた」

「公務員である上院議員として活動していたにもかかわらず、私はボクシングを恋しくなり、寂しさを感じた。ボクシングは私の情熱であり、ボクシングを通して育った」

 また、1995年からの選手キャリアで通算60勝(39KO)7敗2分けという戦績を誇るパッキャオは、2015年に実現したフロイド・メイウェザー・ジュニア(Floyd Mayweather Jr.、米国)とのスーパーファイトの再戦に関して交渉したいと明かした。

 パッキャオは、再戦に向けた働きかけはメイウェザーからでなければならないと主張した。

「われわれは日本で会い、彼には『私は王者だ。チャンピオンベルトを持っている。引退を撤回して私に挑戦するのも君次第だ。私はいつでも準備ができている』と伝えた」 (c)AFP/Rob Woollard