【11月19日 AFP】中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は20日、フィリピンを公式訪問した。長らく米国と同盟関係にあるフィリピンへの訪問は、発展し始めた中比関係のさらなる強化を目指すもので、その一環で中国が大規模事業に巨額の援助を行う可能性もある。

 中国国家主席によるフィリピン公式訪問は13年ぶりで、首都マニラの空港に到着した習氏はレッドカーペットで迎えられた。フィリピン側には、これまで交渉はあったものの締結に至っていなかった中国との投資取引をいよいよ確定させたい狙いがある。

 中国は2013年以降、数兆円規模の対外融資を展開してきた。世界でその政治的影響力を拡大させ、戦後の世界秩序を形成してきた米国の覇権に対し、とりわけアジアで対抗してきた格好だ。

 ただ中国大使館前には、中国政府との関係強化に反対する数百人が習氏の予定到着時間を待たずに押し寄せ、抗議行動を行った。

 デモ参加者は「フィリピンは売り物ではない」とシュプレヒコールを上げ、長く争われている南シナ海(South China Sea)の領有権問題を念頭に「中国はフィリピンの海から出ていけ」と書かれたプラカードを掲げる人もいた。

 南シナ海の領有権問題をめぐっては2016年に、中国の主張には法的根拠がないとする裁判所の判断が示されている。ロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領は、この鍵となる判断に目をつぶる形で、習氏を熱烈に歓迎している。(c)AFP/Cecil MORELLA