【11月20日 AFP】国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)は20日、世界各地で増加している移民や難民の子どもたちが住んでいる国で教育を受けられるよう、各国にさらなる努力強化を求める報告書を発表した。

 ユネスコの2019年度版「グローバル・エデュケーション・モニタリング・レポート(Global Education Monitoring Report)」によると、学齢期に当たる移民・難民の子どもの数は現在1800万人あまりに上り、2000年から26%増加した。

 居住地を離れることを余儀なくされた人のおよそ半分は18歳未満で、ほとんどが避難先の国で公教育を受けられずにいる。

 たとえ何らかの教育が受けられたとしても、語学学習の提供や難民の子どもたちを地域社会に溶け込ませるための財源が国に不足していることも多いという。

 隣国シリアを逃れた人々が流入したことにより対人口比の難民の割合が世界で最も多いレバノンとヨルダンでは、自国と難民の子ども向けに午前と午後に分けて授業が行われている。

 経済大国のドイツでさえ、2015年にアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相が取った寛容な難民政策によって受け入れた子どもたちに適切な教育を実施するため、新たに4万2000人の教師を雇用する必要があるという。

 ユネスコのオードレ・アズレ(Audrey Azoulay)事務局長は声明で、「教育は一体性や結束の鍵となるもの」と指摘し、「教師たちにとっては挑戦的な仕事だが、教室において多様性が増すことは多様性の尊重を高めることにもつながり、また他者から学ぶ良い機会になる」と強調した。(c)AFP