21世紀末、同時多発的な気象災害が人類を襲う 研究
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【11月20日 AFP】21世紀末には地球上の多くの地域で熱波や山火事、豪雨、高潮といった複数の壊滅的な気象災害が一度に発生するようになると警告する論文が19日、英科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)」に掲載された。
論文の共著者の一人、米ハワイ大学マノア校(University of Hawaii at Manoa)ハワイ海洋生物学研究所(Hawaii Institute of Marine Biology)のエリック・フランクリン(Erik Franklin)氏は「人間社会は危険かつ相互に作用し合う気象現象による複合的で壊滅的な影響を受けるようになるだろう」と警告する。
大気中の二酸化炭素(CO2)やメタンなどの温室効果ガスが過剰になったため、生命を脅かす大規模な気象災害が発生し始めている。始まりは気温上昇だ。主に乾燥地帯で干ばつ、熱波、山火事を引き起こし、非乾燥地帯には豪雨や洪水をもたらす。
地球温暖化によって海上で発生する暴風雨は巨大化し、その被害は海面上昇によって拡大する。
従来は、気候変動が引き起こす個々の事象についての研究が多く、人間社会が同時に複数の気象災害に見舞われる可能性が見逃されがちだった。
しかし例えば米フロリダ州は昨年、深刻な干ばつ、記録的な気温上昇、100件を超える森林火災、同州史上最大級の勢力だった大型ハリケーン「マイケル(Michael)」の上陸を経験した。
論文の主執筆者、ハワイ大のカミーロ・モラ(Camilo Mora)教授は「1つ、もしくは2~3の気象災害のみに注目すると、ほかの気象災害がもたらす影響が覆い隠され、気候変動が人類に及ぼす影響の評価が不完全なものになってしまう恐れがある」と語る。