【11月20日 AFP】フランス東部ブザンソン(Besancon)で2016年、日本人留学生の黒崎愛海(Narumi Kurosaki)さん(当時21)が行方不明になった事件で、仏検察当局は19日、黒崎さんが大学寮の自室で元交際相手のチリ人の男によって絞殺された可能性が高いとの見解を示した。

 黒崎さんは2016年12月4日夜、元交際相手のニコラス・セペダ・コントレラス(Nicolas Zepeda Contreras)容疑者と夕食を共にした後、消息を絶った。

 ブザンソンで記者会見したエティエンヌ・マントー(Etienne Manteaux)検事は、黒崎さんは殺害されたとみられるものの、近郊の森林地帯の広範囲を対象として行われた捜索にもかかわらず遺体は発見されておらず、死因の特定は困難だと説明。一方で、黒崎さんの部屋には血痕がなかったことから、絞殺された可能性が高いとの見解を示した。

 また同検事は、セペダ容疑者が当時、黒崎さんが別の男性と交際を始めたことに嫉妬していたと指摘し、同容疑者は「これまで以上に、この殺人事件での主要容疑者であると考えられている」と説明。さらに、黒崎さんが行方不明となる数日前、同容疑者がスーパーで可燃性液体5リットルとマッチを購入していた他、利用したレンタカーが返却時に泥で覆われていたことを明らかにした。

 フランス当局はチリに帰国したセペダ容疑者に対し国際逮捕状を出したものの、チリ当局は身柄拘束を拒否している。仏当局は、容疑者の取り調べのため予審判事をチリに派遣すべく、「今後数週間」以内にチリ当局に対し協力を要請する予定だ。

 マントー検事は「われわれは遺体の発見のために手を尽くしたが成果が出なかった。これを受け入れ、外交段階に移る必要がある」と言明。さらにフランスはチリに対し容疑者引き渡しの正式要請は行っていないとし、国外での裁判のために自国民の引き渡しに応じる国は少ないと説明した。(c)AFP