米ホームレスに募金4500万円集めた美談は「でっち上げ」 3人を起訴
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【11月16日 AFP】ガス欠で立ち往生した女性ドライバーをホームレス男性が所持金をはたいて助けた──米国で昨年、こんな美談が話題をさらい、この男性を支援しようとクラウドファンディングで40万ドル(約4500万円)を超える募金が集まった。しかし、心温まる物語は何から何まで「でっち上げ」の詐欺だった。
米ニュージャージー州バーリントン(Burlington)郡の検察当局は15日、クラウドファンディングサイト「ゴー・ファンド・ミー(GoFundMe)」を利用して詐欺をはたらいたとして、ケイトリン・マクルーア(Katelyn McClure)容疑者と交際相手のマーク・ダミコ(Mark D'Amico)容疑者、ジョニー・ボビット・ジュニア(Johnny Bobbitt Jr)容疑者の3人を起訴した。
マクルーア被告とダミコ被告は2017年11月、クラウドファンディングのページを立ち上げ、退役軍人でホームレスのボビット被告への「寄付金」を呼び掛けた。フィラデルフィア郊外の高速道路でガス欠を起こして止まっていたマクルーア被告の車をボビット被告が見つけ、ガソリン代として所持金20ドルをはたいて助けてくれたので、恩返しをしたいと2人は説明していた。
クラウドファンディングのページは、ボビット被告が住宅を借り中古車を購入できるよう支援するとうたっていた。目標金額は1万ドル(約113万円)の設定だったが、あっという間に目標をはるかに上回る寄付が殺到。心温まる話としてメディアでも大きく取り上げられた。
ところが、今年8月になって風向きがおかしくなってきた。ボビット被告が、募金のごく一部にすぎない7万5000ドル(約850万円)しか受け取っていないと主張して、マクルーア被告とダミコ被告を訴えたのだ。
ボビット被告は2人が善意の支援者たちを欺いていると非難。豪華な旅行を楽しんだりBMWの新車を購入したりしていると主張した。その後、警察は2人の家からBMW車を押収。さらに捜査が進むにつれて、ボビット被告も最初から2人と共謀していた事実が明らかになった。
バーリントン郡検察当局は、15日の記者会見で「募金集めは全て、うその上に成り立っていた」と発表した。ゴー・ファンド・ミーのページが公開されてから1時間もしないうちに、マクルーア被告は友人への携帯メールで、ボビット被告が助けてくれたというのは「完全なでっち上げ」だと打ち明けていたという。「マクルーア被告はガス欠を起こさなかったし、ボビット被告が手持ちの最後の20ドルを彼女のために使った事実もなかった」
3人は「偽装による窃盗罪」と「窃盗を共謀した罪」に問われており、検察は禁錮刑を要求する方針だ。検察によればゴー・ファンド・ミーの運営元は、募金総額40万3000ドル(約4570万円)を寄付した1万4000人全員に返金する予定だという。(c)AFP