【11月16日 AFP】ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)が隣国バングラデシュに大量流出して難民化した問題で、難民らをミャンマーに帰還させる計画が15日、開始日を迎えたものの、当局によると国境を渡り帰国した難民はいなかった。ミャンマー政府は、ロヒンギャ帰還の取り組みでバングラデシュ政府に不手際があったと非難した。

 ミャンマーでは昨年8月以降、軍の強硬な取り締まりから逃れるため、推定72万人のロヒンギャがバングラデシュに避難。国連(UN)は帰還したロヒンギャが再び迫害に遭う恐れがあると警告しており、帰還計画は議論を引き起こしている。

 難民の第1陣がミャンマーに帰還する予定だった15日、バングラデシュ当局者らは国境の検問所で難民らの到着を待ったが、検問所を訪れた人は一人もいなかった。一方、難民らは抗議デモを実施。ロヒンギャの男女や子ども約1000人が「私たちは行かない」など叫び声を上げた。

 帰還計画には国連や国際支援団体も反対しており、ロヒンギャの首長らによると、バングラデシュが作成した帰還者名簿に入っている2260人の多くが身を隠している。

 対象となっている男性(85)は「やつらは息子2人を殺した。私は別の息子2人と一緒にバングラデシュに逃れた。どうか私たちを送り返さないでほしい。残りの家族も殺される」と訴えた。

 ミャンマーのミン・トゥ(Myint Thu)外務次官は記者らに対し、バングラデシュ政府の対応は「段取り面で不十分だ」と非難するとともに、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)がロヒンギャ帰還を妨害していると批判した。(c)AFP