【12月12日 AFP】フランス・パリで埋葬してもらう場所を確保するのは極めて難しい。

 パリ市内には墓地が14か所しかない上、おしゃれなモンパルナス(Montparnasse)地区の木々に囲まれた墓地も、モンマルトル(Montmartre)地区のサクレクール寺院(Sacre-Coeur basilique)に隣接する高架下の墓地も、ほぼ満員状態となっている。

 11月1日の諸聖人の日(All Saints' Day)には、大勢のフランス人が墓参りに訪れ、花を供える。しかし多くのパリの墓地では最近、最も頻繁に訪れるのは墓参り客ではなく、富豪や有名人の墓を探す観光客となっている。

 観光客に最もよく知られた北東部のペール・ラシェーズ(Pere Lachaise)墓地には約7万基の墓があり、アイルランド出身の作家オスカー・ワイルド(Oscar Wilde)や米歌手ジム・モリソン(Jim Morrison)、ポーランドの作曲家フレデリック・ショパン(Frederic Chopin)、仏女性歌手エディット・ピアフ(Edith Piaf)らが眠っている。

 しかし、富豪か有名人でもない限り、パリ近郊に墓を確保できる見込みはほぼないだろう。

 昨年、パリの墓地の募集数がわずか171件だったのに対し、応募数は約5000件に上った。1区画当たりの価格は、約1万6000ユーロ(約205万円)だった。

 パリ市当局は墓地不足対策の一環として、一定の年数経過後の立ち退きを前提とした「占有権」の利用を進めている。

 それでも、どうしてもパリの墓に入りたい場合には、火葬が解決策になるかもしれない。光の都パリの火葬件数は、この20年間で3倍に増加した。(c)AFP