ボーイング、インドネシア機墜落原因疑いのシステム変更を非通知か
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【11月15日 AFP】インドネシアの格安航空会社(LCC)ライオン航空(Lion Air)の旅客機が墜落し、乗客乗員189人全員が死亡した事故で14日、事故原因と疑われている失速防止システムの変更について、機体を製造した米航空宇宙機器大手ボーイング(Boeing)が航空会社や操縦士に通知していなかった疑惑が浮上した。
ライオン航空610便、ボーイング737MAX8型機は先月29日にジャワ海(Java Sea)に墜落。捜査当局は現在、事故と失速防止システムの関連について捜査している。
737MAX8型機のエンジンは旧型機に搭載されていたものより重いため、以前とは異なる状況下で失速する恐れがあった。しかし米国の旅客機パイロット協会(Allied Pilots Association、APA)によると、ボーイングは航空会社や航空機乗務員に通知することなく失速防止システムに変更を加えた。
APAの広報担当者は「われわれは知らされるべきだった」「全くばかげている」とボーイング側の姿勢を非難し、「この事故を引き起こした問題は絶対に解決されなければならない」「ボーイングはそれに応じなければならない」と指摘した。
担当者はさらに、必要なすべての情報を共有しないことは航空業界における「安全性の文化」に反していると強調した。
AFPはボーイングに取材を試みたが、回答は得られなかった。同社は13日、捜査当局への協力に尽力していると表明していた。
米航空宇宙コンサルタント会社ティールグループ(Teal Group)で分析担当責任者を務めるリチャード・アブラフィア(Richard Aboulafia)氏によると、ボーイングは変更が微小であると考え、通知するほどではないと軽視していた可能性があるという。
匿名で取材に応じた操縦士によると、737MAXのような最新型機に関してボーイングや欧州航空機大手エアバス(Airbus)などの航空機メーカーが推奨している慣熟訓練の期間はわずか数日だという。(c)AFP/Delphine TOUITOU