ハミルトン、F1の拡大路線に疑問「レースをよく知らない国に行くのは…」
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【11月14日 AFP】先日ベトナムGP(Vietnam Grand Prix 2020)の開催を発表するなど、フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)が進めている新たな国への拡大路線について、今シーズンの年間王者に輝いたメルセデスAMG(Mercedes AMG)のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)が疑問を呈している。
近年のF1は拡大の一途をたどり、中国やインド、韓国、シンガポール、アブダビ、バーレーン、ロシア、アゼルバイジャンなどに手を広げる中で、成功と失敗の両方の結果が出ている。ベトナムGPについては先日、2020年から10年間の契約で、ハノイで開催されることが発表された。
その一方で、英国やドイツ、イタリアといった歴史あるモータースポーツの中心地は危機にさらされていて、フランスGP(France Grand Prix)は今季10年ぶりにF1サーキットへ復帰した。
この傾向について、ハミルトンは英BBCで、新市場を開拓するよりもモータースポーツの本当の伝統がある国でのレースを増やす方が好ましいと話している。
10月に自身5回目となるドライバーズタイトルを獲得したハミルトンは「レースの面で言えば、新しい国に行くことがどれだけ重要かは分からない」と話し、「シルバーストーンGPとロンドンGPがあったら、すごくクールだと思うんだけど」と続けた。
「英国やドイツ、イタリアには本物のレースの歴史が積み重なっているし、今では米国も歴史を築き始めている」「だけど、そうした国でレースが開催されるのは1年に1回だけだ。もし僕がビジネスに関わっていたら、そうした国で複数の大会を開催できないか検討すると思う」
「ベトナムには行ったことがあるが、美しい国だ。インドでレースをやったときは奇妙な感覚を抱いた。とても貧しい国なのに、何もない場所に巨大できれいなGP用のサーキットだけがあるんだ。あのときはすごく複雑な気分になったよ」「トルコではほとんど誰も見に来なかった。クールなサーキットにクールな週末、だけど客席は寒々しかった」
シンガポールでは人気を博しているF1だが、インドと韓国では長続きしなかった。そして、ベトナムにもモータースポーツの伝統があるとは言い難い。
ハミルトンは「ドイツGP(German Grand Prix)に加えてベルリン開催のGPがあれば、人がたくさんいる街という意味では良いことだと思うんだ。F1のことをよく知らない人たちばかりの国に行く必要は、必ずしもないんじゃないかな」と話している。(c)AFP