ポル・ポト時代の大量虐殺、レーダー探知機で犠牲者の遺体調査
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【11月24日 AFP】カンボジアの農村で、芝刈り機に似た機械を押しながら注意深く歩く一人の男性──。この機械は、最新の地中レーダー探知機で、男性は旧ポル・ポト(Pol Pot)政権時代に行われた大量虐殺の犠牲者の遺体が埋まっている場所を調査しているのだ。
クメールルージュ(Khmer Rouge)とも呼ばれたポル・ポト政権(1975~79年)は、農業主体の共同社会構築を掲げ、極端な毛沢東思想で国を治めた。この政権下で死亡した人は200万人に上るとみられており、犠牲者の遺体は急ごしらえの穴に埋められた。
「キリング・フィールド(大量虐殺が行われた刑場)」の多くは切り開かれた土地に置かれた。専門家らは、犠牲者が遺棄されたこうした場所が国内に2万か所ほどあると推定している。
今回のレーダーを使った調査では、さらなるの刑場発見の他、既知の場所にどれだけの遺体が埋まっているかなど、より詳細に調べる計画だ。
調査を監督しているカンボジア資料センター(DC-Cam)のペン・ポン・ラシー(Pheng Pong-Rasy)氏は、「クメールルージュによって遺体が埋められた場所を対象にした調査で、こうした最新技術を用いるのは、今回が初めて」と述べた
■正義なく殺された人々
調査は10月末、カンボジア東部プレイベン(Prey Veng)州から始まった。実際の調査は、プノンペンを拠点とする企業スパローホーク・ファーイースト(SparrowHawk Far East)が担当している。同社はレーダー探査で得られた情報を元に立体(3D)画像を作成・分析する。
クメールルージュについて調べている研究者らは1990年代以降、主に被害者や加害者のインタビューによって、犠牲者が遺棄された場所を特定してきた。
スパローホーク・ファーイーストのマイケル・ヘンショウ(Michael Henshaw)社長は、カンボジアで実際に起きたことへの理解が、この調査を通じて深まるとしながら、「実際の犠牲者が何人だったのか、より正確に分かるようになる」と述べた。
ただ、いかなる調査結果が得られようとも、現場の掘り起こしは行われない。これはカンボジアの伝統に基づいてのことだ。
ペン・ポン・ラシー氏は、「既に正義なく死んだのだから、私たちが掘り起こしては魂まで破壊されてしまう」と述べ、「埋められている犠牲者の数を知りたいだけだ」と説明した。(c)AFP/ Suy SE with Joe FREEMAN in Bangkok