【11月9日 AFP】メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール(Andres Manuel Lopez Obrador)次期大統領の与党・国家再生運動(MORENA)は8日、銀行手数料を大幅に下げる法案を提出した。これを受け、同国の主要株価指数は同日、約6%下落した。

 国家再生運動のリカルド・モンレアル(Ricardo Monreal)上院議員が同法案を提出したことを受けて銀行株が下落。それに引きずられS&P/BMV IPC指数の下落幅は一時6.18%を記録。最終的には5.81%安で引けた。通貨ペソも対米ドルで1.2%下落した。

 モンレアル氏は同法案について、ATMでの引き出し、クレジットカード支払いの遅延損害金、年間手数料、銀行間の送金、クレジットカード決済端末機の使用料など、メキシコの銀行が徴収している「法外な」手数料を撤廃あるいは抑制するためのものと主張している。

 同法案には、「メキシコの銀行部門の収益の30%以上が手数料収入」「銀行手数料の度を超えた乱用は憂慮すべきもので、メキシコ人に不利益をもたらしている」と記されている。

 ロペスオブラドール次期大統領は先週、首都メキシコ市の新空港建設計画を中止する意向を表明。この時もメキシコの株価と通貨は下落した。

 コンサルティング会社ユーラシア・グループ(Eurasia Group)は、ロペスオブラドール次期大統領は銀行や伝統的な金融機関を信用していないと指摘し、この法案のような介入主義的な政策は今後も出てくるとの見方を示した。

 BASE銀行のチーフエコノミスト、ガブリエラ・シジェール(Gabriela Siller)氏は、与党連合が両院の過半数を握っていることから、法案は可決し、銀行の収益に「多大な影響」を与えると予想している。法案を提出したモンレアル氏が国家再生運動の上院トップであることから、次期政権は民間部門に好意的でない立場を維持する可能性が高まっているという。(c)AFP