【11月9日 AFP】バドミントン男子、元世界ランク1位のリー・チョンウェイ(Chong Wei Lee、マレーシア)が8日、鼻のがんの治療を無事に終えて競技に復帰する意向を示し、現役を退くつもりはないと強調した。早ければ来月にも練習を再開し、来年3月に行われる全英オープン(YONEX All England Open Badminton Championships 2019)でのツアー復帰を目指しているという。

 36歳のリーはマレーシア・クアラルンプールで開かれた記者会見で、「すべての治療を終え、順調に回復している」と明るく元気な様子で話すと、「コートに戻りたい」「現段階では引退するつもりはない」と付け加えた。

 先月に治療先の台湾から帰国したリーは、9月に衝撃的な診断を受けたことを公表して以降、初めて公の場に姿を現した。通算3個の五輪銀メダルに輝いている同選手は、自身5回目の大舞台となる2020年の東京大会でプレーすることが「夢」だとしている。

「(東京五輪の)選考に関しては、何の問題もないはず」と話したリーだが、現在のところは健康が第一であるとした上で、「母国を愛しているし、バドミントンが大好きだから、とにかく全力を尽くしていく」と語った。しかしながら、体調が十分に回復しなかった場合は、ラケットを置かなければならなくなる可能性があることも自覚しており、「状態が良ければプレーを続けていく。だめなら競技をやめるつもりだ」と明かした。

 マレーシアでスーパースターの地位を確立しているリーは、初期のがんを患っていると診断され、世界バドミントン選手権大会(2018 TOTAL BWF World Championships)と第18回アジア競技大会(18th Asian GamesAsiad)の欠場を余儀なくされた。2児の父親として、病気が発覚した際には「1週間泣き続け、食事も取れず、眠ることもできなかった」という。

 リーは医師の指示に従って治療のために台湾に渡り、その間に体重が5キロも減少。現在は世界8位まで後退している同選手は、2014年の世界選手権で禁止薬物に指定されている抗炎症剤に陽性反応を示して出場停止処分を受けたが、鼻のがんは自身にとって人生最大の打撃だったとみられる。

 薬物摂取が不注意によるものだったことが認められ、2015年から競技に復帰しているリーは、今回の鼻のがんについて「人生で最も厳しい時間だった」「だけど、愛する者たちに支えられて闘病を続けることができた」と付け加えた。

 リーは母国ファンに熱心に見守られながらも、夏季五輪では3大会連続でマレーシア人初の五輪金メダリストになれかった。長年のライバルで中国のスーパースターである林丹(Dan Lin、リン・ダン)に2大会連続で金メダルをさらわれた後、リオデジャネイロ五輪の決勝では、手に汗握る激戦の末に中国のチェン龍(Long Chen、チェン・ロン)に敗れた。(c)AFP