過熱する中国のペット経済、だが簡単には稼げない
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【11月19日 東方新報】中国主要都市の800余種にのぼる新職業の状況について、就活サイト大手の智聯招聘(Zhilian Zhaopin)とIT大手の美団点評(Meituan Dianping)が共同でまとめた「2018年新職業人の仕事と生活の現状調査報告」によると、収入トップ3は、獣医師、フィットネスクラブのインストラクター、カクテルを作るバーテンダーの順だ。獣医師の平均月収が最も高く、28.57%が2万元(約32万8000円)を超える。
■獣医師:収入1万元を超えるがプレッシャーも
調査報告書の中で最も稼ぐとされる獣医師の現実はどうなのだろうか?
杭州市(Hangzhou)の若い獣医師の陳際(仮名)さんは記者に対し、「獣医師を始めて5年がたつ。初めの2年は見習いで収入は少なかったが、正規になってからは、収入は1万元(約16万4000円)を超える」という。「大きな病院のベテランクラスの医師だと2万元(約32万8000円))を下らない」。
「簡単な話。ペットの治療には医療保険がない。一方、飼い主は高所得者で、ペットを大切に扱うので、治療にお金を使うことをいとわない」と陳さんは言う。「ただ、実際にお金を支払う段になると問題になりがち。例えば、動物の薬の多くは輸入品で価格が高い。手術となれば、数百元から数千元の範囲は常識で、大型手術は1万元(約16万3984円)を超えることもある。金額を見て眉をしかめる人もいる」
「最近は色々なニュースが流れ、多くの人が、動物病院は『ブラック』だと思うようになり悩ましい」と陳さん。「一番面倒なのは、医療トラブル。ペットが重症で治療のしようがない時もあるが、客からみれば、お金を払って治療をしたのに治らない。この前は中年女性が半月もの間、毎日のように来て、我々が彼女の『息子』を殺したと言われ、本当にやり切れない思いだった」
記者が杭州の動物病院で聞いた話によると、医療トラブルの発生は常態化している。訴訟になるケースも少なくないので、多くの動物病院ではトラブルを避けるため、治療開始の前に契約を結び、前金をもらうようにしているという。
■猫カフェの経営者:開店して4年、ぎりぎりの経営続く
最近、台頭してきたペット経済の中で、食品と医療などの固定消費以外で、猫カフェのたぐいの新ビジネスも現れている。杭州でこの数年で開店した猫カフェは、20軒を下らない。
記者が訪れた「下沙」という場所の猫カフェは、杭州でできた1軒目の猫カフェで、開店して4年になる「しにせ」だ。
入り口は小さく、2階に上がるとコーヒーショップになっている。扉を開けると猫の存在が伝わってくる。数十平方メートルの大部分がカフェスペースで、中に仕切られた一室が客と猫の触れ合いスペースとなっている。猫は店の中のテーブルや椅子、棚の上などで寝ているか遊んでいる。
経営者の閻東彬さんによると、この猫カフェは友人と2人で開いたもので、2人ともコーヒーと猫が好きだ。海外で猫カフェというものがあると聞き、自分たちでやることに決めた。当時はまだ若く、毎日コーヒーを飲みながら猫と遊べることを夢見ていた。夢はいっぱいあったが、現実は厳しいことに気付いた。猫カフェを開いて4年、経営はいまだに厳しい、と笑いながら語った。
閻さんの猫カフェには約20の猫がおり、ベンガル猫、ラグドール、ロシアンブルーなどの純血種で、飼育コスト以外に、賃貸料や人件費を加えると、1杯35元(約574円)のコーヒーだけでは赤字だ。従業員は閻さんを含め常勤が3人、さらに数名の学生アルバイトがいる。客は週末になると来るが、平日は全くいないという。(c)東方新報/AFPBB News