【11月8日 AFP】インドネシアの洞窟にある動物の壁画は4万年以上前に描かれたもので、世界最古の具象画であることが分かったとする最新の研究結果が発表された。

 インドネシア・カリマンタン島(Kalimantan Island、別名:ボルネオ島、Borneo Island)にある、在来種の野生の牛を描いたものとみられるこの壁画は、同島の辺境地域で数十年前に発見された数千点に及ぶ洞窟壁画のうちの一つだ。

 研究チームは今回、ウラン系列年代測定法と呼ばれる技術を用いて、洞窟壁画が描かれた時代の解明に成功した。

 洞窟壁画をめぐっては、欧州で発祥したと長きにわたって考えられていた。しかし今回の発見は、その発祥地が欧州だけではないことを示す証拠をさらに増強するものとなった。

 研究結果について、豪グリフス大学(Griffith University)の研究者マキシム・オーバート(Maxime Aubert)准教授は、「具象画がアジアと欧州でほぼ同時期に発達・進化したと考えることができる」とAFPの取材に語った。

 隣接するスラウェシ(Sulawesi)島の具象壁画については、2014年に3万5000年前に描かれたとの測定結果が得られていたが、オーバート氏と研究チームが調査したカリマンタン島の壁画の一部は、それより少なくとも5000年早い時期に描かれていたこととなる。

 7日の英科学誌ネイチャー(Nature)に論文を発表した研究チームは、重ねて描かれていた描画の複数の層を調査した。

 最も古い層には、大半が在来種の牛とみられる動物の絵と手形のステンシル画が赤っぽい色の顔料で描かれていた。その上の層には、手形のステンシル画と小さな棒状の人の姿が赤紫色の顔料で描かれていた。手形は複数を寄せ集めた構図となっており、線や点で装飾が施されている。最上部の層には人、小舟、幾何学模様などが描かれていた。