【11月15日 AFP】赤道直下のコートジボワールのアエピア(Allepilla)村の子どもたちは、毎日1時間かけてにぎやかに通学している。

 夕方、家に帰って来た8歳のマリー・フランスさんは、通学用に使っているリュックサックに付けられたLEDの明かりで宿題をする。この明かりは、学校まで往復する間に太陽光パネルで発電した電気で、3時間使用できる。

 頭の上を虫がひらひら飛び回る中、マリー・フランスさんは、教科書の絵を指さしながら読んでいく。「オレンジ、飛行機…」

 マリー・フランスさんが暮らす村は、商業都市アビジャン(Abidjan)から北に約100キロに離れた場所にあり、カカオ豆とコーヒーの製造が盛んな農村だ。

 1本しかない水道管が、400人(そのうち子どもが150人)ほどが暮らす村に水を供給している。コートジボワール国内の他の数千の村や集落と同じように、電気は通っていない。

 コートジボワールで農村部の少女に教育を行うプロジェクトを推進する慈善団体「イオ・ゾーン(Yiwo Zone)」は、資金を集め、アフリカ中の子どもに太陽光パネル付きのリュックサックを提供している。リュックの費用は1個1万3000CFAフラン(約2500円)。

 コンピューターを販売していたエバリスト・アクミアン(Evariste Akoumian)さんが2015年、ソーラー・リュックのアイデアを思い付いたのは、夜が近付く中、スブレ(Soubre)近郊で車が故障してしまった時だった。

「ちょうど、子どもたちが学校から戻ってくる頃だった」と、アクミアンさんは振り返る。「子どもたちが勉強できるよう、明かりをつけなければ。地方の子どもたちが、明かりがなくて勉強できないことが普通であってはならないと思った」

 政府は、国内の電力供給率を80%まで拡大する方針を掲げている。

「地方の子どもたちは貧しい。コメの袋やプラスチック袋を通学バッグ代わりに使っている」とアクミアンさんは言う。「リュックサックに太陽光パネルを付けて、通学用バッグにすれば一石二鳥だと思った」

 このソーラー・リュックは、子どもたちのものだとアクミアンさんは強調する。「父親や母親は子どもから明かりを奪って、料理や家事の時の明かりとして使うことはできない」

 売り上げは好調で、5万5000個に達した。アクミアンさんの会社「ソーラーパック(Solarpak)はガボン、マダガスカル、ブルキナファソなどで販売している他、フランスとドイツの慈善事業にもリュックを提供している。

 アクミアンさんは、需要に応えるため、アビジャンに組み立て工場を建て、生産を拡大する計画で、そのための支援や融資を求めている。(c)AFP/Patrick FORT