【11月5日 AFP】チリ政府は4日、南米パタゴニア(Patagonia)に約1万年前に生息していた絶滅種の哺乳類ミロドン(mylodon)の標本について、収蔵する英ロンドンの大英博物館(British Museum)に返還を求めると発表した。

 フェリペ・ワード(Felipe Ward)国有財産相は、今後2週間以内に訪英すると記者団に表明。「博物館側と交渉したい。展示されることもなく保管されているミロドンの骨と皮の標本の返還を求める」と語った。

 ミロドンは、現在のアルゼンチンとチリにまたがるパタゴニア地方にかつて生息していた地上性の哺乳類。ナマケモノの祖先とされ、体長およそ2.5メートル、体重は3トンほどだったとみられている。

 関係者によると今回返還を求める予定のミロドンの標本は、1897年に研究のため英国に運ばれたきり、チリに返還されていない。1896年にチリ南端のマガジャネス(Magallanes)の洞窟でドイツ人入植者によって発見されたもので、現在この洞窟は「ミロドンの洞窟」の名で知られている。

 ワード国有財産相はロンドンで、やはり大英博物館が所蔵するチリ領イースター島(Easter Island)のモアイ像の返還を求める先住民らの代表団と合流する予定。

 このモアイ像は、1868年に英国船「トパーズ(Topaze)」号によって持ち去られたもので、先住民らはレプリカを制作して博物館に寄贈する代わりに実物をイースター島に返還するよう求めている。(c)AFP