【11月4日 AFP】ヨルダンとの国境に近いシリア南東部ルクバン(Rukban)の難民キャンプに3日、人道支援物資を積んだトラックの車列が到着した。国連(UN)とシリア・アラブ赤新月社(SARC)が明らかにした。ルクバンに支援物資が搬入されるのは今年1月以来。

 国連は声明で「国連とSARCはシリア南東部ルクバンのキャンプで困窮生活を強いられてる5万人に人道支援物資を輸送中だ」と発表。全ての物資が搬入されるまで3~4日かかる見通しだという。

 SARCによれば、シリアの首都ダマスカス(Damascus)から支援物資を積んでルクバンに向かうトラックは70台以上となる見込み。

 国連のアリ・ザータリ(Ali Al-Zaatari)人道調整官(シリア担当)によると、ルクバン・キャンプには基本的な支援物資に加え食料や衛生用品、栄養・健康補助食品などが届けられている。さらに、キャンプ内の子どもたち約1万人をはしかやポリオなど致死性の高い感染症から守るため、ワクチンの緊急接種を進めているという。

 支援物資がルクバンに到着するのは、今年1月にヨルダン側から物資が搬入されたのが最後となっていた。以来、キャンプの状況は悪化の一途をたどっている。住民の大半がヨルダンから密輸される食料には手が届かず、キャンプには保健医療施設もない。

 キャンプ住民の一人は、支援物資の到着を歓迎しながらも「定期的に届けられるのでなければ、キャンプは再び悪化状態に陥ってしまう」と携帯電話のメッセージアプリを通じてAFPに語った。

 国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)によると、ルクバンでは先月、生後4か月の女児が敗血症と脱水症で、5歳の男児が敗血症と栄養失調のためにそれぞれ死亡している。

■シリア国境がヨルダンの「軍事閉鎖区域」に

 ルクバン・キャンプから近いヨルダン側の緩衝地帯にある国境検問所付近では2016年6月、過激派組織「イスラム国(IS)」による自爆攻撃があり、ヨルダン兵士数人が死亡。これを受けてヨルダン軍は、シリアと国境を接するヨルダン北東から東部のイラク国境にかけて広がる砂漠地帯を「軍事閉鎖区域」に指定した。以降も、ヨルダンは国連の要請に従って、同区域への人道支援物資の輸送を許可しているが、国境のほとんどは封鎖状態にある。

 ヨルダンは米主導の有志連合によるIS掃討作戦に参加している。(c)AFP