【11月10日 CNS】中国・雲南省(Yunnan)プーアル市(Puer)思茅区(Simao)森林公安局によると、10月24日以来、同区六順鎮(Liushun)南邦河村(Nangbanghe)に餌を求めて、1頭のアジアゾウが頻繁に出没している。同公安局は村民の生命と財産の安全確保のため、巡回員のパトロール強化やドローンによる早期警戒、高い壁や柵を設置するなどし、ゾウとのトラブルを避けるよう努めている。同29日現在、このゾウに関連した死傷者は出ていない。 

 統計によると、プーアル市思茅区内にある4つの鎮には100頭近い野生のアジアゾウが生息しており、毎年秋になると農地の作物が食べ尽くされるだけでなく、一部のゾウは食べ物を求め村の中にまで入り込み、現地の村民を脅かしている。

 単独行動をする野生のアジアゾウ1頭が24日午前8時ごろ、南邦河村の楊学昌さん宅に侵入。近隣の村民が大声で象を威嚇したが、ゾウは全く意に介さず、堂々と食糧の入った袋を持ち出し村から逃走した。翌日25日午前にもまた楊さん宅に来たが、前日の教訓を生かした楊さんは、自宅の食糧をすべて別の場所に移していたことで、今回は難を逃れた。

 思茅区アジアゾウ巡回員の段建良さんは、「多くの村民と巡回員は、安全な距離を保ちつつゾウの背後に付き、声でゾウを威嚇し追い出そうとしたが、ゾウは怖がる素振りすらも見せず、まるで自分の家に戻ってきたような感覚だった」と振り返る。

 段さんによると、今年の下半期以降、このような単独で行動するゾウが夜中や早朝の村に頻繁に出没し、村民の農作業などの生活を脅かしているという。

 これについて、思茅区森林公安局の楊正雄副局長は、現地政府指示の下、各村の巡回員を増員しゾウの群れへの追跡を強化することや、ドローンを使った調査により情報を提供し、周囲の村民らに早期警戒を発するなど今後の対策を説明した。

 またこのほか、ゾウが頻繁に出没する地域には高い壁や柵を設置することや、ソーラー式の街路灯や監視モニターを設置するなどし、ゾウの行動を把握していくとしている。(c)CNS/JCM/AFPBB News