【11月2日 AFP】陸上女子中距離のスター選手であるキャスター・セメンヤ(Caster Semenya、南アフリカ)が1日、男性ホルモンのテストステロン値が高い女子選手に対する国際陸上競技連盟(IAAF)の新たな規則は、次世代の女子アスリートを「つぶしている」危険性があると語った。

 新たな規則の下では、セメンヤのような「アンドロゲン過剰症」の選手は、大会に出場できるレベルまで薬によってテストステロン値を下げなくてはいけなくなるが、これはIAAFの規約や五輪憲章に違反するものだと同選手は主張している。

 物議を醸している新規則は当初1日から適用される予定だったが、その正当性を疑問視するセメンヤからの訴えを受けたIAAFは、手続きのさらなる遅延を避けるために導入を5か月先送りにすることを決めた。

 IAAFのルールに関してスポーツ仲裁裁判所(CAS)に訴えている理由を問われたセメンヤは「これは私だけの話ではない。私は世界チャンピオンになり、コモンウェルスゲームズ(Commonwealth Games、英連邦競技大会)を制し、アフリカ王者にもなった。人生でやりたいことはもう全て成し遂げた」と答えた。

「もし私がこれを放置したら、次の世代はどうなる? この規則は、彼女たちをつぶしているのも同然。走りたいのに私と同じ状況にいるかもしれない女の子たちはどうなるんだ」「誰かが何かをやらなければならない。もうたくさんだ。こういう人たちに好きなようにさせてしてしまってから、もうだいぶ時間が経ってしまっている」

 2012年のロンドン五輪と2016年のリオデジャネイロ五輪で800メートルの連覇を果たしたほか、世界陸上(IAAF World Championships in Athletics)でも2009年、2011年、2017年の3度にわたり同種目の王者に輝いているセメンヤは、今回の規則に影響を受ける最も代表的な選手になる可能性が高い。(c)AFP/Gregory WALTON