【10月31日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、米国内で生まれた人に対して自動的に米国籍付与を保証する「出生地主義」を廃止する意向を表明した。中間選挙を1週間後に控え、反移民の立場を強調する電撃発表を行った形だ。

 トランプ氏はこれに先立ち、中米から米国を目指し移動を続けている移民集団(キャラバン)について、「これはわが国に対する侵略だ」と警告。米当局は、対メキシコ国境に5000人以上の軍隊を派遣する極めて異例の措置に出た。

 出生地主義は合衆国憲法修正第14条で定められており、大統領が憲法改変権限を有しているか否かは疑問視されていることから、廃止方針は国境への軍隊派遣以上の物議を醸す可能性が高い。改憲は連邦議会の3分の2の承認を得る必要があるが、共和・民主の2党でほぼ半分に割れた現議会でそれを達成することはほぼ不可能とみられる。

 だがトランプ氏は、30日に抜粋が公開されたニュースサイト「アクシオス(Axios)」とのインタビューで、現行規則の変更は大統領令のみで実現できると説明。さらに、出生地主義を採用しているのは米国だけだという事実とは異なる主張を展開し、現行制度を批判した。米国と同じく出生地主義を採用する国は、隣国カナダを含め20か国以上に上る。

 トランプ氏は、自身の計画について法律顧問と協議した上で、制度変更に向けた取り組みを既に開始したと説明。「進行中だ。実現する。大統領令をもってして」と語った。

 インタビューの抜粋では廃止の時期は示されておらず、出生地主義をめぐる議論は長期にわたり続く見通しだが、トランプ氏は目前に迫った中間選挙で移民抑制を目玉政策として掲げており、廃止方針の公表が即時かつ甚大な政治的影響力を及ぼすことは必至だ。(c)AFP