【10月30日 AFP】靴下のにおいを嗅ぐだけでマラリアに感染した子どもを特定するように犬を訓練することが可能との研究報告が29日、発表された。一部のがんや糖尿病性昏睡リスクのある人を嗅ぎ分けるよう訓練された犬については、これまでも知られていた。

 米ニューオーリンズ(New Orleans)で開催の米国熱帯医学会(American Society of Tropical Medicine and Hygiene)の年次総会で発表された研究結果によると、検査では陽性反応が示されるが、熱などの表だった症状がない子どもの体内のマラリア原虫をにおいで見つけ出すように犬を訓練したという。

 マラリアは、感染した蚊が伝播する原虫によって引き起こされ、世界で毎年約44万5000人もの命を奪っている。

 マラリア患者の数は世界的に増加傾向にある。世界保健機関(WHO)によると、2016年には、前年比500万人増の2億1600万人となった。

 研究を主導した一人で、英ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院(LSHTM)疾病制御学研究科長を務めるジェームズ・ローガン(James Logan)氏は、「懸念されることに、マラリア制御の進歩が近年、行き詰まりをみせており、マラリアとの闘いで助けとなる革新的な最新の手段が切実に必要とされている」と話す。「今回の結果は、感染してもマラリアの症状を示さない患者の診断を、より迅速・容易にする重要な手段となる可能性があることを示している。症状を示さなくても、患者は感染源となり得る」

 今回の研究では、アフリカ西部ガンビアのマラリア陽性の子ども30人と非感染の子ども145人の計175人分の靴下サンプルを検査した。

 犬はマラリアに感染した子どものサンプルを70パーセントの精度で特定できた。また、マラリア非感染のサンプルについては特定精度が90パーセントに達した。

 示された成功率について、研究責任者の英ダラム大学(Durham University)生命科学部のスティーブ・リンゼイ(Steve Lindsay)教授は、「信用できる精度」と指摘している。また、さらなる研究が必要であるとしながらも、「空港で青果物や薬物などを検出するために探知犬が日常的に利用されているのと同様に、通関手続地でマラリアのスクリーニング検査を行うための非侵襲的手段」の開発につながる可能性があるとして期待が寄せられていると述べた。(c)AFP