【10月30日 AFP】中国当局は29日、サイとトラの体の部位の取引を、科学や医療、文化目的に限って解禁すると発表した。これについて野生生物保護活動家らは、世界中に「壊滅的な影響」を及ぼしかねないと警鐘を鳴らしている。

 内閣に相当する国務院は、サイとトラおよびその関連製品の取引を、科学的研究、文化財の販売、そして「医学研究または治療」といった「特別」な場合のみ許可するとしている。

 さらに取引量は「厳格に規制」し、認められている使途以外の取引は引き続き禁止する方針。

 野生動物保護を推進する非営利団体「エレファント・アクション・リーグ(EAL)」が昨年実施した調査によると、中国は1993年、サイの角とトラの骨の取引を禁止したところ闇市場が拡大。多くの製品がベトナム経由で持ち込まれたという。

 野生生物保護活動家らは、サイやトラ製品の取引を一部解禁することにより、関連製品全体の需要増加に拍車をかける一方、野生生物関連の厳重な密輸取り締まりが妨害されると指摘している。

 世界自然保護基金(WWF)は、この政策により「合法取引が違法取引の隠れみのにされる恐れがあるのみならず、禁止措置以来減っていた需要も刺激されるだろう」と警告している。(c)AFP