アルプス岩塩坑に眠る、青銅器時代の産業の足跡
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【1月2日 AFP】オーストリア・アルプスに位置する世界最古の岩塩坑・ハルシュタット(Hallstatt)は、他の鉱山とは一線を画している。
7000年前から採掘されてきたこの塩鉱山は、塩の安定供給をもたらしてきただけではなく、一連の考古学的発見により、紀元前10世紀間の初期にまでさかのぼる豊かな文明の存在を裏付けている。
考古学者ハンス・レシュライター(Hans Reschreiter)氏によると、有史以前のトンネル網でこれまでに探査が完了しているのは全体の2%以下で、昨年8月に新規の補強工事が始まったところだ。
ハルシュタットは1997年に国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産に指定された。アルプスの景観を目当てに訪れる観光客でにぎわう自然湖を見下ろすハルシュタット岩塩抗は、標高800メートル超に位置する。その内部に眠る膨大な量の海塩を残した大海がこの地域を覆っていたのは、約2億5000万年前だった。
■築3000年の階段
考古学的発見として最も特筆すべきものは、紀元前1100年にさかのぼる長さ8メートルの木製の階段だ。欧州で発見された同種の階段としては最古のものだ。
さらに以前にさかのぼる出土品もある。1838年には紀元前5000年に鹿の骨から作られたおのが発見され、古代から人々が「ここから塩を掘り出そうと苦心していた」ことがうかがえる。
19世紀半ばの発掘では、鉄器時代初期にこの岩塩抗が突出した存在だったことを示す共同墓地が発見された。その文明は「ハルシュタット文化」として知られるようになり、この地の名声を確実にした。
レシュライター氏によると、墓からは数千体分の遺骸が発掘され、そのほぼすべてが、最も裕福な層が身に着けるブロンズの装飾をまとっていた。しかし、中には幼少期からの過酷な肉体労働の痕が残る遺骸もあり、富の不平等が示されていた。