シリア首都の国立博物館、6年ぶり開館 ISが破壊の像も修復し公開
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【10月29日 AFP】シリアの首都ダマスカスで28日、内戦のため休館していた国立博物館が6年ぶりに開館した。中部の古代都市パルミラ(Palmyra)でイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」によって破壊された約2000年前のライオン像も、移設後に修復されてお披露目された。
1920年に設立されたこの博物館は、内戦の勃発から1年後となる2012年に、ロケット弾や略奪から文化財を保護する措置の一環としてマムーン・アブドルカリム(Maamoun Abdulkarim)文化財博物館総局長(当時)が休館させていた。
文化財博物館総局はそれ以降、文化財などを火災や砲撃、洪水から保護できる秘密の場所に保管。保護対象となったのは34館の文化財約30万点や多数の古文書で、首都の博物館のものだけでも8万点に上る。
文化財博物館総局のアハマド・ディーブ(Ahmad Deeb)氏はこれらの文化財について「金属製の箱にしまったものもある。移動させるのが難しい大型の文化財については、セメントブロックで周囲を覆って保護した」と説明した。
再オープンしたダマスカスの国立博物館の庭には、口を開けたライオン像が噴水を見下ろすように誇らしげに立つ。「ラートのライオン(Lion of al-Lat)」と呼ばれる高さ3メートルのこの像は、1977年にパルミラ遺跡で発掘されたもの。一帯を支配下に置いたISによって2015年に破壊され、その後ダマスカスに移されて修復作業が行われた。
今回公開されたのは同博物館の一部だが、他の部分についても近く再開する予定という。(c)AFP/Maher al-Mounes