【10月26日 AFP】国連(UN)の人権専門家が25日、東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所事故の汚染地域に女性や子どもが帰還することについて、被ばくの懸念から見合わせを求めたのに対し、日本政府は翌26日、この要請に反論した。

 国連のバスクト・トゥンジャク(Baskut Tuncak)特別報告者は、人々は「政府が以前安全としていた放射線量の基準を超える場所など、危険を伴う地域に帰還を強いられていると感じている」と話した。

 福島第1原発事故の直後、日本政府は被ばく線量の許容限度を年間1ミリシーベルトから20ミリシーベルトへ引き上げた。

 この許容限度を再び引き下げるよう要請が出ているにもかかわらず政府がこれに応じていないことについて、トゥンジャク氏は「憂慮している」と述べ、「日本政府には、幼少期の被ばくを予防し、最小限に抑える義務がある」と指摘した。

 これについて、AFPの取材に応じた外務省関係者は、トゥンジャク氏の指摘は一方的な情報に基づくもので、「福島に関して不必要な不安をあおる恐れがある」と反論した。

 日本政府は、被災地域の大部分で避難指示を段階的に解除してきたが、指示は放射線量が引き続き高い場所では依然出されたままとなっている。

 政府は被災地の復興と再生を強く推し進めているが、政府がいう放射線量の「安全」基準が国際基準に一致していないとの批判にさらされている。(c)AFP